今回はヴィンテージよりもアンティークという言葉がふさわしいほどの、遥か時を超えて届いた美しいスプーンリング、そしてヴィンテージボロネッカチーフの新色をご紹介致します。
例に洩れず今回もかなりの長文となっておりますが、味わい深いヴィンテージ品の魅力を余すところなくお伝えして参りますので、ぜひ最後までお付き合いくださいませ。
ヴィンテージスプーンリング"Corinthian"
今回新しく入荷したのは、世界的な銀食器ブランドとして名を馳せたGORHAM社(エイブラハム・リンカーンの夫人も使用していたとされています)が、
今から約149年も前の1872年に発表した、"Corinthian"と呼ばれるパターンのスプーンから制作された、ヴィンテージスプーンリングとなります。
決して華美ではなく、それでいて高級感を持つこの佇まいからは、当時のデザイナーの高い美意識を感じ取ることができます。
この"Corinthian"をデザインしたのが、当時実力派デザイナーとして名を馳せた、George Wilkinson(1819-1894)でした。
イギリス生まれのアメリカ人であったGeorgeは銀細工職人として卓越した技術を持っており、1858年からGORHAMに在籍し様々なデザインの銀食器などを発表します。
そして1871年には銀細工部門の監督として、多くの作品に携わることになりました。
彼の素晴らしい作品は、インディアナポリス美術館に収蔵されるほどの高品質のものばかりであり、その作品からは彼の持つ美意識をそこかしこに感じ取ることができます。

出典:http://collection.imamuseum.org/artwork/77197/
そんな彼がデザインしたスプーン、この"Corinthian"には「華麗な」や「(古代ギリシャの)コリント式」といった意味合いが含まれています。
ちなみにコリント式とは、古代ギリシャの建築様式の一つであり、アカンサスと呼ばれる植物の葉や、細身の柱身が特徴の美しいデザインとなっています。
おそらくは彼もこの美しい建築様式にインスピレーションを感じ、一つのパターンへと落とし込んだのではないかと考えられます。

今回は極力この美しいデザインを邪魔せぬよう、スプーン一つを丸ごと加工したヴィンテージスプーンリングへと仕立てました。
目を惹く繊細な装飾部から、丸みを帯びた持ち手部分とのコントラストが楽しめる大人のためのヴィンテージリングとなっております。