当ブログには非常に少数ではございますが、ありがたいことに繰り返し訪れていただいている、いわゆる常連様がいらっしゃるのですが、そのような方々には「またシグネットリングの話か」と辟易されてはいないかと気が気ではないのですが、
それでも当ブログのような極めてニッチな記事群をご覧いただいている、私と同じようにヴィンテージを愛する方々であれば、きっと優しく受け止めていただけるであろうという、
非常に楽観的かつ希望的観測だけを支えに、今回もしつこくシグネットリングについてお話をさせてていただければと思います。
さて、遡れば古代エジプトに起源を持つとされる、魅力に溢れるシグネットリング には、近年多くのファッショニスタたちが熱い眼差しを送っています。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Finger_ring_(FindID_88175).jpg
主張しすぎず、それでいて洗練されたフォルムに、自ら(所有者)のものであることを示すモノグラム(刻印)が手彫りで丁寧に刻み込まれたこのリングには、えも言えぬ存在感が確かにあります。
その歴史の深さに魅力を感じ、アンティークやヴィンテージのシグネットリングをお探しになられる方も沢山いらっしゃることと思います。
しかし実は市場にそれらが出回ることは非常に珍しく、仮に出回っていたとしても目を疑うほどの高い値段がつけられていることがほとんどです。
今回は「なぜシグネットリングはアンティーク・ヴィンテージものが市場に出回ることが少ないのか」について、あくまで私の考えではございますが、大きく3つの理由をご紹介していきたいと思います。
※シグネットリングの深い歴史については、シグネットリングの知られざる歴史においても詳しく記載しておりますので、是非ご一読ください。
第1の理由:シグネットリングは代々受け継がれていたため
古代エジプトに起源をもつとされるシグネットリングですが、現代のように洗練されたスタイルに落ち着いたのは、中世ヨーロッパの頃であると考えられています。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Finger_ring_(FindID_397739).jpg
その頃金で作られ、さらには宝石が埋め込まれたりもしていたこのリングは、当時貴族や一部の富裕層のみが身に付けることができました。
そのように高価な素材を使用し、一流の職人たちにイニシャルや家紋を掘らせたり宝石を埋め込んだりと、シグネットリングは当時非常に高価なリングでした。
そのため貴族は世代が変わるごとに自らのシグネットリング を制作するというよりは、父から息子へそしてその孫へと、世代間でリングを受け継がれることが一般的であったとされています。
そのようにして受け継がれてきた大事なリングを売ろうと考える人は当然ほとんどいないため、結果的には古いシグネットリングはほとんど市場には出回らない。ということになるのではないかと思われます。
第2の理由:シグネットリング は持ち主が亡くなる際に破壊されていたため
「シグネットリングが破壊されていた」とお伝えすると、「なぜそんなにもったいないことをするのか」と嘆かれるお方もいらっしゃるかと存じますが、このリングが持つ力を知っていただければおそらくはご納得いただけるかと思います。
当時このリングは、単なる装飾品としてだけではなく封蝋(手紙や書類の封筒に、溶かしたロウを数滴垂らしその上から印で閉じること)をしたり、法的な書類に署名をする際にも使われたいわば”印鑑”としての重要な役割を持っていました。