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南北戦争トークン(コイン)の知られざる歴史

皆さんは、「南北戦争トークン(コイン)」なるものをご存知でしょうか。


"戦争"という起こすべきではない出来事の中で、やむなく生み出されたこの「南北戦争トークン」とはいったいなんなのか。


今回は、そんな知られざるヴィンテージトークン(コイン)の世界をご紹介させていただきます。

 

南北戦争コインとは

南北戦争コインの味のあるデザイン

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Kennedy_token_rev.jpg


南北戦争トークンとは、その名の通りアメリカで起こった南北戦争時に、民間及び個人の商店などが独自に発行した貨幣のことを指します。


あまり知られていませんが、そのような”国ではない民間や個人が発行して流通した貨幣”は「代用貨幣」と呼ばれています。


その観点から言えば、この「南北戦争トークン」も「代用貨幣」の一種であるということができます。


さて、ここからは少し南北戦争について詳しく触れていきたいと思います。


現在アメリカでは、白人と黒人の対立が激化しています。


これは有史以来、世界中で公然と認められてきた忌むべき悪習、奴隷制度のしこりが未だ解消されていないことを改めて世界中に示しているわけですが、


この奴隷制からの黒人奴隷たちの開放を求めた北軍と、あくまでも奴隷制を保持し続けたい南軍が、アメリカを二分して戦った戦争こそ、今から約159年前の1861年に始まったアメリカ南北戦争です。

奴隷制が焦点となったアメリカ南北戦争

約4年にわたって繰り広げられたこの戦争では、総死者数が70万から90万人とも言われており、アメリカ独立後初めての”内戦”としても記録されています。


このような戦争が行われると、この頃特に頻発したのが小額貨幣の不足でした。戦争にはおびただしい量の金属が必要になり、貨幣にまで金属が回らなくなってしまうということは決して珍しくありませんでした。


また、そのような金属の不足だけでなく経済の混乱も追い討ちをかけたことにより、貨幣の数はさらに少なくなっていきました。


そのため、民間や個人の商店などが、自分たちが使うために独自に発行したのが「代用貨幣」であり、この頃には「南北戦争トークン」と呼ばれるものだったのでした。

 

様々な南北戦争トークン


一口に南北戦争トークンと言ってもその使用方法は様々で、貨幣のように商品を買う際に使うものもあれば、広告的な意味合いを持つものや、兵士たちの士気を上げるためのものもあったようです。


一つずつ細かく見ていくことにします。


愛国者トークン


いかにもアメリカらしい愛国者トークン

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Dix_Token_1861.JPG


愛国者トークンは、その名の通り愛国者のためのトークンでした。片面・もしくは両面に国旗やスローガンである”連合よ永遠に(Union For Ever)”などの文字が打刻され、兵士達の士気を上げるのに一役買っていました。