Wallaceのシルバーカトラリーの歴史


カントリージェントルマンでも人気の商品であるWallace社製のシルバースプーンから制作した、Wallace grand baroque vintage spoon ring。

今回はそのWallace社の歴史を紐解いていきたいと思います。

Wallace社の始まり

Wallace Silversmithsの創設者、Robert Wallace(ロバート・ウォレス)は1815年11月13日にアメリカはコネチカット州プロスペクトで生まれました。

彼は18世紀後半に移住したスコットランドの移民で、銀細工職人(シルバースミス)のジェームズ・ウォレスと妻アイリーン(ウィリアムズ)の息子でした。少年であった彼は、限られた教育しか受けていませんでした。

シルバーカトラリーとの出会い

ある日、ロバート・ウォレスがニューヨークで買い物をしている時に、不意にイギリスのSheffieldのDixon and Sonsによって生産された、”ドイツの銀”と呼ばれるニッケル合金製のカトラリー(食器)を見つけました。

ウォレスはこの作品の質と力強さに感銘を受け、ドイツの化学者であったDr. Louis Feuchtangerから数えきれないほどのドイツの金属を20米ドルで購入し、新しいニッケル銀スプーンを製造しました。

その後16歳でロバート・ウォレスは、メリデン・ブリタニア社の有名なスプーンメーカーである、キャプテン・ウィリアム・ミックスに弟子入りしました。

ちなみにメリデン・ブリタニア社は、北東の中で最も成功したカトラリーでもありました。

ウィリアムから様々な技術を継承した彼はその後ウィリアムのもとを離れ、自分の工房を持ち自分のスプーンを本格的に作ることになります。

ウォレスが自分のブランドであるWallace Silversmiths(ウォレス・シルバースミス)は、1835年に設立されました。

信頼される高い技術

COBURG(コバーグ)

その後50年間、Wallaceは契約作業を行い、世界中の多くの企業のためにカトラリーを生産しています。

ウォレスは、様々なフラットウェアメーカーと契約を結び、決められた年数の作品を制作します。平均してこれらの契約は約10年間ほど続きました。

代表的なブランドとしては、エルトン&カンパニー、フレッド・R・カーティス・カンパニー、メリデン・ブリタニア・カンパニーなどのカトラリーを製造していました。

1855年には、ウォレスはドイツのフラットウェアメーカーであったサミュエル・シンプソンと提携してます。この時点でのブランド名はR. Wallace and Co.と呼ばれ、12,000ドルの出資を受けました。

さらにその後ウォレスはMeriden Britannia Company(メリデン・ブリタニア・カンパニー)のマネージャーとパートナーシップを結びました。

この時点で、同社はWallace、Simpson、およびCo.と呼ばれ、1865年にはその価値は10万ドル相当にもなりました。

1871年までに、ウォレスは2人の息子とともにパートナーの株式の残高を購入し、ブランド名もR. Wallace&Sons Mfg Co.へと変更しました。

成長を続ける技術革新

WILLIAM & MARY(ウィリアム&マリー)

この頃、工場では純銀製品と高級ニッケル - 銀メッキ製品(平らで中空のもの)が追加されました。

しかしウォレスはまだまだ新しい実験に取り掛かります。それは鉄鋼から新しい製造プロセスを考案する、というものでした。

それは、いままでより硬く、より軽い基盤を作ったウォレスは、銀メッキの品質向上に大きく貢献していきました。

また、1871年にはウォレスの息子とが新会社を結成しました。その新会社Wallace Brothers(ウォレスブラザーズ)では、ステンレス鋼をベースにした銀メッキの皿が製造されました。

このように、ウォレスは画期的な製品を生み出しつづけたのです。(1879年までにWallace BrothersはR. Wallace and Sons Mfg Co.と合併した)

1875年に、ウォレスは、ウォレスの名前を冠したホーソン、ザ・クラウン、セント・レオンという最初の3つのスターリングパターンを導入しました。

これらの美しい模様をもって、純銀や銀メッキ製の作品が製造されていきました。その後も同社は成長を続け、R. Wallace and Sons Mfg Co.は、新しい機械や熟練した職人に多大な投資をしていきます。

時が経ち、アメリカの金メッキ時代が始まったとき同社は新商品の設計を成功させ続け、また金メッキ製品の製造にも乗り出しました。

20世紀初めには品質に対する評判が高まり、さらに多くのパターンが開発されました。数年を経て、彼らの卓越したテクニックとクオリティに対してウォレスの評判は高まり続けました。

新たな時代へ

そんな一流企業を創業したロバート・ウォレスも1892年6月1日に亡くなり、彼の息子たちビジネスを守り続けました。それが彼らを世界最大の食器メーカーへと押し上げて行ったのです。

その成長の証拠として、20世紀の初めには約3トンの鉄鋼と1.5トンのニッケル銀が毎日使われていたという記録も残っています。

1930年代にはR. Wallace Mfg Co.の大量生産技術を完成させるために、多くの労力と費用が費やされました。

そのような積極的な投資拡大に続き、デザイナーWilliam S. Warren氏(Third Dimension Beautyコレクションで広く知られるデザイナー)が作成した一連のカトラリーパターンをリリースしました。

これが今日よく知られている質の高い銀細工と、時代を超越した優雅なデザインであるローズポイント(1934年)、クリストファー(1936年)、ストラディバリ(1937年)、グランドバロック(1941年)、グランドコロニアル(1942年)、ロマンスオブザシーでした。

これらのパターンは、表、裏、または輪郭がとても立体的であるため、デザインを総称して「3次元(スリーディメンションズ)」と呼ばれます。これらのパターンは現代でも非常に高い人気があります。

ちなみにヴィンテージのスプーンをみると、これらのデザインを模倣したようなスプーンが多く見られます。それほどこのWallaceのデザインは世界的に人気であったことがわかります。

ROMANCE OF THE SEA(ロマンスオブザシー)

STRADIVARI(ストラディバリ)

GRAND COLONIAL(グランドコロニアル)

SIR CHRISTOPHER(クリストファー)

GRANDE BAROQUE(グランドバロック)

ROSE POINT(ローズポイント)

さらに1947年、デザイナーは本を執筆しました。Wallace Silversmithsから出版されたその本は、 "Wallace Beauty Moods in Silver"の名で出版され、6つの "Three Dimension"デザインのうちの5つについて書かれました。 その中でも1941年に発表されたグランド・バロック様式の作品は大人気となり、ウォレスはシルバー業界でも著名な存在となったのです。

現在に至るまでのWallaceの歩み

1956年、R. Wallace and Sons Mfg Co.はWatson Companyを買収し、The Watson Co.のWallicford Connecticut工場に移転しました。同社の移転後、その名前はWallace Silversmithsになりました。

その後、1958年に、Tuttle Silver CompanyとSmith&Smith Companyの両方を購入しました。そしてWallace Silversmithsはペンシルバニア州ランカスターの、世界的に有名な時計会社であるハミルトンに、1959年に買収されました。

その後30年間、Wallace Silversmithsの所有権は3回以上変わることになります。ウォレス・シルバースミスは、イリノイ州エルギンのKaty Industriesに売却された1983年まで、Hamilton Watch Company(Hamilton Watch社はWallace Stainless Division [2]をVose Associatesに1963年または1964年に販売)の子会社となりました。

1986年には、Towle Silversmithsも所有していたSyratech CorporationがKaty IndustriesからWallace Silversmithsを買収しました。

1987年4月1日、Wallace Silversmithsの本社がコネチカットからマサチューセッツ州ボストンに移転しました。

2006年、ライフタイム・ブランドズはSyratech Corporationの資産を取得し、同社はスターリングシルバープレートとステンレス製のフラットウェアを設計し続けて現在に至ります。

会社の所有権は変われど、卓越した技術を持つ職人と類稀なデザインを推し進めるデザイナーたちによって、Wallace社製の美しい芸術的なカトラリーは、現代でも多くの人たちに愛されています。

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