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アンティークコイン・ジュエリーとブルガリの知られざる歴史


monete(モネーテ)のアンティークコインリング

この世界には様々な収集家(コレクター)達が存在しています。切手やアンティークのおもちゃ、ヴィンテージのジーンズにナバホジュエリーなどなど。


コレクターたちは、そのモノが生産されていた時代の証拠を探し出すことに興奮を覚えたり、玄人にしかわからない微小な部分にこだわりを持ち、それを手に入れるために莫大な予算をつぎ込むことも厭いません。


実は世界5大ジュエラーの一角を担う高級ブランド、ブルガリの副会長ニコラ・ブルガリもその世界では名を知られたコレクターです。


今回はコレクター、ニコラ・ブルガリの飽くなき探究心が生み出した名作について、ご紹介していきたいと思います。

 

ニコラ・ブルガリ


ブルガリといえば、1884年に創業者ソティリオ・ブルガリによって立ち上げられたジュエリーブランドの一つで、イタリアらしい大胆不敵かつ唯一無二のスタイルを確立し、世界にその名を知らしめたブランドです。


彼、ニコラ・ブルガリは創業者ソティリオ・ブルガリを祖父にもち、現在でもブルガリの副会長としてブランドの運営に携わっています。

ニコラ・ブルガリ

さて、そんな彼がコレクターとして有名なのが、1920−1940年代を中心として集めてきたアメリカン・クラシックカーのコレクターとしてです。


世界的なアメリカンクラシックカーコレクション

馬車でも全米1位のブランドであった、ステュードベイカーの34年式ランドクルーザー。「その価値は持ち主に訊け」("Ask the Man Who Owns One.")のキャッチコピーでも有名な高級車ブランド、パッカードの36年式クーペなど、


見る人が見れば腰を抜かしてしまうほどの名車・高級車が、アメリカはペンシルベニア州アレンタウンの広いガレージの中に、最高のコンディションのままで保管されています。


しかし彼の収集は車だけには留まりません。今回ご紹介したいのが、ニコラ・ブルガリのコインコレクターとしての物語です。

 

モネーテ


彼の兄であり、ブルガリの会長を務めるパオロ・ブルガリとニコラ・ブルガリは、1966年に父であるジョルジオ・ブルガリが惜しくも亡くなった後、本格的にブランドに参画します。


(1960年代から1980年代までは、経営は実質的には長兄のジャンニ・ブルガリが行いました。次男がパオロ、三男がニコラです。)


その1960年代に発表されたのが、モネーテと呼ばれるラインです。

アンティークコインとゴールドのコントラスト

https://www.ebay.com/itm/Vintage-Bvlgari-18K-Yellow-Gold-Ancient-Coin-Monete-Necklace/183832189960?hash=item2acd409c08:g:UQYAAOSwy5xc8eE2


モネーテは、古代のアンティークコイン収集家であったニコラ・ブルガリ主導で制作されました。


古代のアンティークコインの魅力を知り尽くした彼は、その恐るべきこだわりを様々な面でこのラインに反映させていきます。


古代のアンティークコインは、当然ながら1000年以上もの時を経ているため、完全な丸ではなかったり錆びていたり、汚れていたりする場合がほとんどでした。


しかし彼はそれを必要以上に洗浄したり染色したり、または削ったりする事なくそのままの状態でジュエリーに落とし込みました。



アンティークコインに合わせて作られたネックレス

コインがいびつな丸をしているならば、その枠となる金をコインに合わせて曲げ、美しいマリアージュ(調和)を楽しめるようにしました。


さらに余分な洗浄はせず、金の眩いばかりの輝きと、時を経て身についたコインのくすんだ色合いまでをも、一つのコントラストとしての美として認め、全く新しいジュエリーをこの世に誕生させる事に成功したのでした。


このモネーテはブルガリを代表するほどの人気のラインの一つとなり、今でも多くのセレブリティたちに人気を集めています。


そして1977年には、パオロとともにブルガリの名を冠した時計「ブルガリ・ブルガリ・ウォッチ」を発売し、その大胆なデザインが世界中のセレブリティたちをはじめとする多くの人から賞賛を浴びることになります。


彼ら3代目のブルガリ兄弟は、その後もアジアやポップアートから着想を得た作品や、1992年には緑茶の成分をベースにした自身初の香水「オ・パフメ」を発表するなど、ブランドのさらなる成功の立役者となっていきました。

 

コレクターとしての偏愛


美しい金細工と、古ぼけたアンティークコインを一つのコントラストを通して、全く新しいジュエリーへと生まれ変わらせたニコラ・ブルガリ。


彼のこだわりは、モネーテの裏側にも感じることができます。


コインの裏側が見えるブルガリのバングル

アンティークコインには、その貨幣が発行された時の皇帝の名前や、その頃流行した神のデザインがモチーフとして組み込まれています。


彼はその文字やデザインにこそ美しさと価値があると考え、表だけでなく裏もそのままの姿を見せられるようなデザインにしました。


これにより、モネーテを購入した人はアンティークコインの美しいデザインを余すことなく味わえることができるようになったのでした。


普通のデザイナーであれば、コインを包む細工を綺麗な円にしたり、何かと手を加えたくなりそうなものですが、やはりコレクターとしての血がそうさせたのでしょうか。


きっと彼はアンティークコインそのままの魅力をどうすれば最大限に活かせるかを悩み抜き、この美しいジュエリーのデザインへと到達したのでしょう。


その魅力は発表から50年以上経た現在でも、決して色あせることなく輝き続けています。


 

Country Gentlemanのアンティークコインネックレス


Country Gentlemanのアンティークコインネックレスをご紹介させていただきます。(現在は当ブランドサイトでは販売しておりませんが)

Country Gentlemanのアンティークコインネックレス

こちらは古代ローマ時代(約1800年以上前)に発行されていた銀貨から製作した、アンティークコインネックレスです。


デザインや文字を元に調査を進めると、古代ローマの全盛期であった5賢帝時代の一つ、アントニヌス・ピウス帝の時代に発行されていたことがわかりました。(西暦在位138~161年)   表には当時のローマ皇帝アントニヌス・ピウス帝の肖像がデザインされており、裏面には当時人気のあった女神フォルトゥナ神がデザインされています。


フォルトゥナ神が刻まれたアンティークコインネックレス

  フォルトゥナ神は運命の輪(Wheel of fortune)を司る古代ローマの女神であり、 ”運命(Fortuneの語源でもあります)”を司る女神として舵を握っていたり、運命の不確実性を表すためにボールに乗って描かれることもしばしばあります。

このように、ヴィンテージやアンティークのアクセサリーには、一見しただけではわからない非常に味わい深い歴史や背景が秘められています。


私はその歴史や背景を掘り起こす作業がとても意義のあることだと考えておりますし、また同時に楽しんでいます。これからもこのような「語り継ぎたくなるヴィンテージやアンティーク」を、ご紹介していければと思っております。


Country Gentleman

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