当ブランド、カントリージェントルマンでは時を経て特別な貫禄を身にまとった、ヴィンテージ素材からさまざまなヴィンテージアクセサリーを制作・販売しています。
いくつもの試作品が生まれては消えていくなかで、ようやく新しい作品としてお届けできそうな素材を見つけ出しました。
https://www.crateandbarrel.com/emerson-napkin-ring/s450168
それが、19世紀ごろから西洋で食事の際に使われ始めたと言われている、”ナプキンリング”と呼ばれるものです。食事の際に衣服が汚れないように、ひざの上においておくナプキンを、丸めたままで保持しておけるナプキンリングは、19世紀から20世紀はじめごろまでよく使用されていました。
それではこのナプキンリングが持つ歴史を、順を追ってご説明させていただきたいと思います。
ナプキンのはじまり
ナプキンリングは、食卓で使用するナプキンを丸めたまま保持するためのリングです。ではそのナプキンはいつ生まれたのでしょうか。
その起源は古く、古代ギリシャ時代のスパルタン(古代ギリシアの軍事都市国家に暮らしていた、スパルタの市民)が、食事の際に汚れた手を拭くために使用した食べられる生地<apomagdalie>に起源があるとされています。
当時食事は基本的に手を使って食べられており、その汚れをその生地で拭き取る習慣があったようです。また、口の汚れは薄くスライスしたパンなどで拭き取られていたそうです。
その後古代ローマの人々が現代のナプキンの原型となるMappaと呼ばれる小さなハンカチのような布を発明し、食事の際に用いていました。
その後中世に入ると、現代では考えられないことですがテーブルにひかれた大きなテーブルクロスで、手や口の汚れを拭き取っていたそうです。あまり衛生的によろしくないような気はしますが。。
https://www.atlasobscura.com/articles/napkin-dining-table-recycling
ちなみに12世紀ごろから、ヨーロッパでは食事の際に手ではなくフォークなどの食器を用いるようになり、汚れを気にする事が少しずつ少なくなっていきます。
しかし食器を持つ事ができたのは一部の富裕層のみであり、まだまだ一般的には手で直接食事をとっていたようです。
16世紀に入ると、ほぼ現代のナプキンと比べても遜色ないデザインのナプキンが発明され、これが徐々に市民権を得るようになっていきます。
この頃の富裕層は波打つ大きな襟をファッションに取り入れるようになり、ナプキンはその襟を汚れから守るという意味合いを持つようになりました。
最終的には食器の普及によってナプキンも小型化されていき、そのナプキンを丸めて保持するためにフランスで作られたのが、今回カントリージェントルマンで取り寄せたナプキンリングというわけです。
ちなみにアメリカで初めてナプキンリングが登場するのは1865年頃であったようです。
ナプキンリングが生まれた理由
ナプキンの普及によって誕生したこのナプキンリングですが、それが生まれた理由は実に実用的な理由からでした。
https://www.potterybarn.com/products/antique-silver-friend-napkin-ring/
食事の際にナプキンを使用する事が一般的になり、その使用頻度は飛躍的に増えました。しかし一日3食全てにナプキンを使用するとなると、毎回洗った新しいナプキンを使うわけにはいきません。そのためほとんどの場合ナプキンは複数回使われるのが常でした。
しかし、汚いままのナプキンを食卓にそのまま置いておくわけにはいかないため、汚れを隠すために丸めておく必要が出てきました。
そのため、丸めたままで美しく保持するための道具として生み出されたのが、ナプキンリングだったのです。
その素材は様々で、木材、ガラス、磁器、骨やシルバーなどから作られ、富裕層はそれに芸術的な価値を見出し、職人に豪華な装飾を施させたり自らのイニシャルや紋章を刻み込むなどして、楽しんでいました。
ヴィンテージナプキンリングバング
イギリスから取り寄せた、1901年製のスターリングシルバーでできたナプキンリングから素敵なバングルを制作しました。
今からなんと118年も前のヴィンテージ素材が放つ気品は、一朝一夕では決して身に纏えない本物です。
両サイドにはひまわりの細やかな装飾がなされており、当時の職人の技術の高さが伺えます。
また、当時イギリスで銀製品を市場に出す際、ホールマークと呼ばれる品質を認められた製品にのみ許された刻印が打刻していました。
この打刻されるマークによって年代や刻印した場所を測定できるようになっております。
こちらはバーミンガムにて、1901年に打刻されたことが刻印から判別することができます。
重量も42gとしっかりとした重みを感じることができる、非常に美しいヴィンテージバングルとなりました。
この機会に是非とも本物のヴィンテージアクセサリーの魅力をお試しいただければと思います。
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