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【新作紹介】ヴィンテージシルバー×アップサイクルバングル

以前の投稿からかなり時間が空いてしまいました。


Country Gentlemanでございます。


今回は、完全オリジナルの新作をご紹介したく、本記事を執筆しております。


実は新作を制作するきっかけとなったのが、以前私が書いた記事ヴィンテージアクセサリーを巡る思考の旅

でご紹介した一言でした。

 

「生産とは破壊である」 とは私がある方から聞いたお話しであり、何故かは分かりませんがこの言葉は私の心の中でずっと消えずに残っていました。


さて、その「生産とは破壊である」を具体的に表すとすれば、

  • GDPが著しく上昇するのは”恐慌”や”戦争”という、いわば最も大きな”破壊”の後である

  • ジーンズ一本を生産するために必要となる水の量は約7,500リットルである

のように、

端的に言えば「何かを生み出すためには何かを破壊しなければならない」ということを意味する言葉でした。


この事実に対し、名だたるブランドであるLevi'sやPatagoniaなどが、その”破壊”の度合いを抑えながら生産活動をしていますが、彼らですらそれを”ゼロ”にすることは実現できていないということも、また知るところとなります。


そのようなことを頭の中で反芻しているうちに、ある一つの欲望が胸の内に宿ることになります。


それは「”破壊”のプロセスをゼロにするアクセサリーは作れないだろうか」というものでした。


それから私は、様々なデザインやアイデアを試し、ようやく一つの制作工程を思いつくことになります。

 

リサイクルシルバー


ふと自分の工房(と呼べるほど大したものではありませんが)を見渡していると、こんなガラス瓶が目に止まりました。

スターリングシルバーの端材

これは、私がこれまで作品を制作する中で出た、ヴィンテージの銀食器の端材や、手に入れたものの壊れてしまっていたヴィンテージアクセサリー(スターリングシルバー:純度92.5%の銀)を集めたものでした。

この素材に手を加えることで新たな作品を作ることができれば、「使い道の無かった素材に命を吹き込むことができるのではないか」と考えました。


また、たまたま見ていた海外のWebサイトにて、”Recycled Silver”、”Upcycled Silver”といった単語を目にしたこともあり、その思いは次第に強くなっていきます。


その後様々な加工方法を調べながら、試作を繰り返していくうちに完成したのが今回ご紹介するバングル、Country Gentleman Bangleです。

アップサイクルシルバーバングル

先達の職人の方々からすれば、「そんな大それた事のように話をするな」などとお叱りの声を頂いてしまいそうですが、


少なくとも私の中では全く新しいプロセスを経て作り出したこの作品は思い入れも深く、その制作工程についても少しだけお話しをさせていただければと思います。

 

制作過程

シルバーを熱する工程

まずは先ほどご紹介したシルバーのカケラたちを、高火力のバーナーを用いて液体になるまで溶かしていきます。 温度が完全に高くならない限り型に流し込んでもうまく流れ切らないことが多いため、しっかりと加熱を進めていきます。

型にシルバーを流し込む

十分に熱された銀を、型の中へと流し込んでいきます。型も同時に熱しながら、丁寧に作業を進めていきます。

ローラーでシルバーを圧延

そうして塊になった銀をハンマーで叩き、さらに特殊なローラーを使って圧延(あつえん)していくことで、少しずつ平たく伸ばしていきます。


シルバーを平たく伸ばしていく

圧延やハンマーでの叩き作業を続けていくと、銀が締まって固くなりヒビが入りやすくなってしまいます。


最悪の場合折れてしまうこともあるため、こまめにバーナーで火を入れてなましと呼ばれる作業も行っていきます。


このように圧延やハンマーでの整形、なましを繰り返しながら徐々に平く伸ばしていき、最終的に手首周りに馴染むよう、


しっかりと楕円形に整形し、両端に当ブランドカントリージェントルマンの刻印を両端に打刻し、完成したのが今回の新作”Country Gentleman Bangle<Upcycled Silver>”というバングルとなります。


厚みは約2mm、重さは約47gとスターリングシルバー(純度92.5%の銀)を贅沢に使用した、重厚感のある作品となりました。

 

新たな試みの難しさと楽しさ


以前からお伝えしておりますように、私は自らを職人であるとは考えておりません。


あくまで「歴史の案内人」であるという自覚のもと、これまで様々な作品を生み出してまいりました。


もちろん数世紀前の職人のような、神業のような技術やデザインには到底及びませんが、


「何かを破壊することなく、何かを生み出すことができれば」との思いで始まったこの新たな試みが、


このような終着点でもって皆様にご紹介をすることができることに、深い喜びを感じております。




改めて思うことは、どんな事においても自分が未経験のことをするというのは、とても体力がいるということです。


自分の中だけにあるアイデアやイメージを形にするためには、何度も何度も失敗を繰り返すことになります。


そんな中で、同じような事を他の方々がとても簡単そうに、そして上手に進めているのを横目に見ながら、落ち込んだり自分の力のなさを責めたり。


それでも諦めずに、地道に一つ一つの工程を進めていくこと。


そうしてようやく何かを成し遂げた後で自分の足元に目をやると、悩みながらも前に進むことで逞しくなった自分の足と、以前とは違って見える景色が広がっている事に気づきます。


何かと制限が多く、したいことが思うようにしづらくなっているこの世界ではありますが、足を前に進められない日があったとしても、


少なくとも前だけはしっかりと見据えて、今日も、そして明日も進んでいければと思っております。


Country Gentleman


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