シグネットリングはイギリスだけのもの?<世界のシグネットリングをご紹介>

シグネットリングと言えば、イギリス紳士が身につけているもの。


そんな風にイメージされていらっしゃる方も多いのではないでしょうか。


日本でも、シグネットリングを取り入れたイギリス紳士風のスーツスタイルが紹介されたり、名だたるブランドが独自のシグネットリングを発表したりと、日に日に注目度が高まってきているこのリングですが、


ふと「シグネットリングはイギリスにしかないのであろうか」という考えが頭をもたげました。


そこからシグネットリングにまつわる様々な資料や写真を読み漁り、色々とご紹介したい事柄が増えてまいりました。


そこで今回は、イギリスも含めた様々な国のシグネットリングについて、歴史や実際の画像を参考とながら詳しくご紹介していきたいと思います。

シグネットリングの始まりとは


シグネットリングの起源とされているのは、意外にも古代エジプト紀元前3,500年ごろ)です。


エジプトでは元々このような印が使われていました。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Egyptian_cylinder_seal_3_Thinite_period_2900-2700_BCE_Louvre_Museum.jpg


これは”円筒印章”と呼ばれており、最古のものは紀元前3600年頃の地層の中より出土しています。(私がニューヨークに滞在していた際に、メトロポリタン美術館でも同様のものを見た記憶があります。)


黒曜石や半貴石、陶器などで作られることが多く、その中心には穴が開いていることがほとんどで、ネックレスのようにして常に身につけていたということもわかっています。


おそらくはこのような”印”を”持ち歩く”と言うことを考えたときに、ネックレス、そして現在のシグネットリングの形態へと変わっていったのではないかと考えられます。


こちらは紀元前1400年代のアメンホテプ2世の”カルトゥーシュ”のシグネットリング です。

https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=75428026


少し話が横道にそれますが、”カルトゥーシュ”とは、”王の名前を囲む曲線”のことを表し、つまりはアメンホテプ2世の名前が模様としてこのリングに刻まれていると言うことがわかります。


ちなみにアメンホテプ2世のカルトゥーシュはこちらです。(先ほどのリングの中央上にこの模様が描かれています。)

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Foundation_tablet_showing_the_prenomen_cartouche_of_the_throne-name_of_Amenhotep_II._18th_Dynasty._From_Temple_of_Amenhotep_II_at_Kurna,_Egypt._The_Petrie_Museum_of_Egyptian_Archaeology,_London.jpg


現代のシグネットリングは「自らのイニシャル」を刻み込みますが、古代エジプトではこのように自らの名前、つまり「カルトゥーシュ」を刻み込んでいたと言うことになります。


まさに「これこそがシグネットリングの起源である」とも言えるようなスタイルの指輪になっています。


こちらは紀元前1300年代のツタンカーメンのシグネットリングです。

古代エジプトのシグネットリングにはこのような陶器やガラス、半貴石で作られたシグネットリングもありました。


それから時は過ぎて、こちらはローマで見つかった、マイケル・ゾリアーノのシグネットリング です。八角形で縁取られた印台の上に、文字が手彫りで逆向きに掘り込まれています。


黄金の輝きが非常に美しい逸品です。こちらは1300年代のものとされています。

このように、現代に至るまで様々なスタイルのシグネットリングが作り続けられてきました。


さて、ここからは国別でどのようなシグネットリングが作られてきたのか、ご紹介していきたいと思います。

アメリカのシグネットリング


こちらは1864年に作られたリングで、米国陸軍士官学校を卒業したある人物のためにBall,Black&Co.によって制作されました。

中央の石はブラッドストーンと呼ばれる貴石で、盾形にカットされた石の上には交差した月桂樹のリースと剣、そして1864年のクラスの標語であった「ウノ・アリアム」が美しく配置されています。


全体的に非常にバランスのよくとれた、美しい指輪に仕上げられています。

イギリスのシグネットリング


こちらは大英博物館が所有している、16世紀後半または17世紀初頭に作られたと見られるシグネットリング です。

https://commons.wikimedia.org/w/index.php?curid=55444649


非常にハンドメイド感が強いリングとなっており、TとSのイニシャルと可愛げのある結び目が点で囲まれた台座の上に絶妙に配置されています。


工業的なデザインではなく、一人一人違ったデザインだからこそ、このシグネットリングというものは広く愛されているのかもしれません。

フランスのシグネットリング


こちらはメロヴィング朝フランク族の王クロタール1世(497年〜561年)の妻、つまりは女王アレガンダのシグネットリングです。

シンプルな中にも気品が感じられる、女性らしい丸みを帯びた雰囲気を持つシグネットリング です。

特別なシグネットリング


最後に一つ、特別なシグネットリングについてご紹介させていただきます。

少し暗いため分かりづらいかもしれませんが、こちらのリングの中央には紫色のサファイアに女性の頭が掘り込まれており、周りは金で作られています。


このシグネットリングの特別なところが、中央の石と周りのリングが作られた時期がそれぞれ違うとされるところです。


具体的に言えば、


・中央のサファイア部分:紀元前1世紀頃にギリシャで加工された

・金のリング部分:13世紀から14世紀頃にイギリスで加工された


上記のように鑑定されています。(現在はイギリス,ロンドンのVictoria and Albert Museumに収蔵されています。)


これは、13−14世紀頃の中世ヨーロッパでは、古代の宝石を加工してジュエリーとすることが流行していたため、すでに加工されていた古代ギリシャの宝石(この場合サファイア)を、中世の職人がシグネットリングとして加工したのではないかと思われます。


古代ギリシャの職人と、中世ヨーロッパの職人がタッグを組んで作り出された、まさに芸術品とも言えるアンティーク・シグネットリングです。

シグネットリングと言う文化の広がり


冒頭にお伝えした通り、このリングの文化は古代エジプトから始まったとされ、そこから徐々にその他の国へと伝播されていったと考えられます。


(国の位置関係を記してみましたので、ご参考までにご覧ください。)

現代ではイギリス紳士が身に付けているリングとして認識されているシグネットリングですが、歴史を紐解けばイギリスに限らず、様々な国が思い思いのスタイルを表現しながら、


世界中で身につけられていたことがわかります。


小さな指輪。シグネットリングの中には、これほどまでに深い歴史が隠されています。


このような歴史に触れるたびに、ヴィンテージアクセサリーの奥深さを改めて感じますし、であるからこそ、飽き性である私が未だに興味を失わずにいれるのかもしれません。


これからも、当ブランドでは知られざる歴史をご紹介すべく、古今東西を問わず調査し続けていきたいと思います。


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