街を歩く人たちの装いから、少しずつ春が近づいていることを感じ取れる季節となりました。
ご無沙汰しております、Country Gentlemanです。
日本では”ごく少数の限られたコレクターのみ”がその価値に気づき、大切に収集・保管するジュエリーがあります。
その名もSweet Heart Jewelry(スウィートハート ジュエリー)。
今回はそんなスウィートハート ジュエリーに託された人々の愛の歴史を、一つずつ解き明かしていきたいと思います。
Sweet Heart Jewelry(スウィートハート ジュエリー)とは
Sweet Heart Jewelry(スウィートハート ジュエリー)とは、第一次大戦ごろ戦地に赴いたアメリカ人兵士たちが、愛の証として故郷に残してきた恋人や妻、母親や家族に向けて送り始めた様々なアクセサリーを総称したものです。
(ちなみに、「Sweet Heart」は直訳すれば「甘い心」となりますが、転じて「恋人や家族、親しい人」を指す言葉としてもよく使用されています。)
第一次世界大戦の頃、多くの若いアメリカ人兵士たちは大西洋を渡って続々と戦地に到着します。
彼らの多くはティーンエイジャーだったため、戦地に行くまでその戦場がどれほど過酷で凄惨な状況になるか、想像しきれているとは決して言えませんでした。
そんな中、彼らの精神を正常に戻してくれていたのはいつも彼らの安全と生還を願っていた、彼らの恋人や妻、母親や家族でした。
アメリカ人兵士たちの多くは、そんな自分の大切な人達に対して自分の無事を知らせるため、または自らの愛の証として、様々なアクセサリーを送り始めました。
これが、Sweet Heart Jewelry(スウィートハート ジュエリー)の歴史の始まりとなりました。
人気に火がついたのは第二次大戦後から
第一次世界大戦から始まったこのSweet Heart Jewelry(スウィートハート ジュエリー)の伝統は、第二次世界大戦から本格的に火がつき始めます。
兵士たちの中には、塹壕の中などで手作りで作るものもいましたが、そのほとんどは機械で作られ兵士たちに売られていました。そのため、スウィートハート ジュエリーの中でも手作りのものは現在高値で取引されるようになってきています。
しかしその頃は戦時中ということもあり、それまで貴金属に使用されていたゴールド・シルバー・コッパー(銅)・真鍮などはほとんど軍に回収されてしまったため、多くの場合プラスチックや代替金属などが使用されていました。
具体的な素材としては、ベークライトやセルロイド、エナメルやワイヤーに貝などのいわゆる半貴金属・非貴金属がこれにあたります。
この辺りは別の記事(1940年代のヴィンテージアクセサリー)で詳しくお話ししていますので、もしよろしければご覧ください。
彼ら、そして彼女たちにとって、そのジュエリーが何からできていようと本当は関係ありませんでした。そのジュエリーに込められた溢れんばかりの愛や、無事でいてほしいという願いこそが、このスウィートハート ジュエリーに託された想いだったのです。
様々なモチーフに込められた想い
このころのスウィートハート ジュエリーとしてよく用いられたモチーフがあります。それが「V」、「翼」、「ハート」のモチーフです。
「V」のモチーフは、Victory(勝利)の頭文字のVからきているとされます。兵士たちは彼らの守るべきもののために、勝利を目指して戦いました。その勝利への願いをこの「V」のモチーフに込めていました。
ちなみに「V」のモチーフで作られたジュエリーとしては、ピンやブローチが数多く見られます。
「翼」のモチーフは、飛行機乗りの兵士が好んで買い求め、そして送りました。彼ら飛行機乗りのプライドを表すとともに、恋人や妻、家族への愛情や想いを翼に乗せて飛んで行ってくれることを願ってもいました。
特に多く用いられたのが「ハート」のモチーフです。ほとんどの場合、スウィートハート ジュエリーにはベークライトやワイヤーなどの非貴金属や半貴金属が用いられていましたが、「ハート」のモチーフで作られたジュエリーには、シルバーで作られたものやゴールドメッキが施されたものが少なくありません。
これは、自分の愛する人へ向けた自分の愛が、格別のものであることを示していました。
「ハート」のモチーフが使用されたのは、ブレスレットやイヤリング、ネックレスなど様々なタイプがありますが、一番人気となったのはやはり内部に愛する人の写真が入れておける、ハート型のロケットネックレスでした。
多くの恋人たちが、自分の想い人の写真をロケットの中に忍ばせ、お互いの無事と再会を心から願っていました。
Country Gentlemanのヴィンテージスウィートハート ジュエリー
日本ではなかなか知られていないヴィンテージアクセサリー、スウィートハートジュエリー。
当ブランド、Country Gentlemanでも現在いくつかのヴィンテージものをアメリカより取り寄せております。
販売前には、本来のシルバーの持つ輝きを取り戻した状態で、お届けしたいと考えています。その際にはまたこちらのブログにて告知させていただければと思います。
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