https://financeadmin.lehigh.edu/content/class-2017
ヴィンテージアクセサリーといえば、女性向けのものがほとんどです。
シャネルやグッチなどをはじめとするハイブランドのピアス、ネックレスや、ヨーロッパで100年以上前に女性たちが身につけていた、ガラスのアクセサリー類などが多く、なかなかメンズのヴィンテージアクセサリーは見つけにくいものです。
今回は、ヴィンテージアクセサリーをメンズの視点から考え、どのようなジャンルがあり、そこにどんなストーリーがあるのか、その魅力についても考察していきたいと思います。
インディアンジュエリー
メンズ向けのヴィンテージアクセサリーとしての代表格は、やはりインディアンジュエリーになるでしょうか。
https://houseofstclair.com/products/1930s-native-american-sand-cast-naja
日本ではインディアンジュエリーとして知名度が高いですが、アメリカなどではネイティヴアメリカンジュエリーと呼ばれています。
ネイティヴアメリカンジュエリーの歴史は古く、シルバーという素材に出会うまでインディアン達は身近にある材料であった、骨や石、貝殻などから思い思いのアクセサリーを作って身につけていたようです。
一般的に知られているシルバーのネイティヴアメリカンジュエリーが制作され始めたのは、1800年代に入ってからでした。
https://www.etsy.com/listing/515160857/whirling-log-navajo-silver-bracelet
その頃からネイティヴアメリカン達はメキシコ、スペインなどと交流を持ち始め、1853年からメキシコの鍛冶屋から銀に関する彫金技術を学び始め、独自のスタイルのアクセサリーを制作・販売し始めました。
当時自ら銀を大量に採掘するだけの技術は彼らにはなかったため、アメリカ入植者達から手に入れた銀貨や銀のインゴット、ワイヤーなどを溶かしてアクセサリーを作っていました。
https://nativeamericanjewelrytips.wordpress.com/2015/05/05/what-does-coin-silver-mean-in-relation-to-vintage-native-american-jewelry/
インディアンジュエリーの技法の中でも代名詞と言っていいのが”スタンプ”ですが、これもメキシコの皮職人達が皮に模様をつけるために使用していた、鉄のスタンプから着想を得てシルバーにもスタンプを施したのが始まりとされています。
このスタンプもシルバースミス(銀職人)が鉄くずなどを一つ一つ削って制作されており、作者ごとに異なる顔を見せてくれることも、ネイティヴアメリカンジュエリーの魅力の一つといえます。
ネイティヴアメリカンジュエリーといえばナバホ族の作品が特に有名で人気が高いですが、ナバホ族最初のシルバースミスはアッティディ・サニであるとされ、自然との調和を生き方の指針としていたネイティヴアメリカンらしく、植物や太陽、イーグルなどのモチーフが多用されました。
現在アメリカでは自国の銀貨を溶かしてしまうことを法律で禁じており、銀のコインを溶かしたコインシルバー(銀の純度は900程度)で制作されたネイティヴアメリカンジュエリーは、その希少性から年々価値が高まってきています。
日本ではEXILE、韓国ではBIGBANGなどに代表される著名なミュージシャン達がこぞってこれを買い求め、ネイティヴアメリカンジュエリーの人気はさらなる高まりを見せています。
メキシカンリング
インディアンジュエリーとはまた違った魅力を放つ、男のためのアクセサリーがこのメキシカンリングです。
メキシカンリングは別名バイカーリングとも呼ばれており、無骨な見た目と荒っぽい作りが多くの男性達に愛され、また身につけられています。
メキシカンリングに関してはこちらの記事でもご紹介していますが、その歴史は1910年ごろから始まったメキシコ革命に端を発しています。
革命によって国内経済は不安定になり、貨幣であったペソの価値は暴落しました。仕事が少なくなった職人達は、ペソを溶かしてアクセサリーにすることを思いつきます。これがメキシカンリングの誕生となりました。
https://www.pinterest.jp/pin/75224256253476002/
その後1940年代に入り、アメリカのバイカーチームの中でアメリカとメキシコの国境近くにツーリングへ行くのが流行し始めました。
国境付近を訪れたバイカー達は、そのゴツくて男らしいリング達にたちまち心奪われ、その多くを持ち帰り徐々に人気となっていったそうです。
これが、メキシカンリングがバイカーリングとも呼ばれるようになった所以であると考えられています。
https://www.pinterest.jp/pin/AS2NAxSH8eTBwKtH1LciJMd5iAvIGacCAoLGU0qp0rBxsljef6r00gk/
ネイティヴアメリカンジュエリーと比べると日本ではまだまだ流通量も少ないですが、根強いファンを持つアクセサリーの一つとなっています。
カレッジリング
カレッジリングもまた多くのファンを持つアクセサリーです。
https://www.pinterest.jp/pin/371335931745176794/
その起源はこの後ご紹介するミリタリーリングにあり、1835年ウエストポイントの士官学校の卒業生に向けて作られたリングが最初であるとされています。
カレッジリングとはその名の通りCollege(大学)を卒業するときに授与されるものでした。自らの出身校に誇りを持ち、またそこで過ごした楽しい思い出達と常に共に居られるように、との願いが込められています。
カレッジリングの魅力は、その細かな装飾と中心に据え付けられた美しい宝石にあります。
多くの場合、出身校の名前や卒業した年、アメリカのシンボルでもあるワシをモチーフとして採用されることが多く、材質はニッケル銀に金メッキを施したり、シルバーで作られているものもあります。
https://www.pinterest.jp/pin/757941812261431929/
中央部分にはオニキスやルビーなどの美しい輝きを放つ宝石を配置し、自らの輝かしい思い出をいつでも思い出せるようにしています。
ミリタリーリング
先ほどご紹介した通り、アメリカの士官学校を卒業する際に授与されたのがこのミリタリーリングです。
https://en.wikipedia.org/wiki/United_States_Military_Academy_class_ring#/media/File:USMA_Class_Ring,_Class_of_2012,_%22Never_Forget%22.jpg
デザインはカレッジリングのそれとほぼ変わりなく、出身校やミリタリーのモチーフが採用されて居ます。初期の頃には左手に身につけることが多かったようですが、いつからか右手に身につけることがスタンダードとなってきています。
https://www.pinterest.jp/pin/451345193898837445/
これは、左手には結婚指輪を着けるため、そのための指を空けておかなければいけないだろうという考えからきているそうです。
見た目の装飾の美しさだけではなく、その奥には自らが過ごした厳しい日々を振り返るという意味でも身につけられており、彼らの誇りとも言えるアクセサリーがこのミリタリーリングなのです。
フラットウェアアクセサリー
当ブランド、カントリージェントルマンが制作・販売しているのが、このフラットウェアアクセサリーです。
フラットウェアアクセサリー。直訳すれば、”食器のアクセサリー”ということになります。
19世紀ごろから、富裕層は食事の際にこぞって銀食器を使い始めました。それは銀の美しい輝きと装飾を楽しみながら食事をすることが、彼らにとって一つのステータスでもあったためです。
そのため世界中で名だたる銀食器ブランドが続々と誕生していきました。シルバーアクセサリーの中でも有名なブランドであるティファニーも、銀食器の制作・販売に非常に力を入れていたほどでした
当カントリージェントルマンではスプーンを丸めて作るスプーンリングや、バターナイフを成形して作るバターナイフバングル、フォークから制作されたフォークバングルなど、様々なフラットウェアアクセサリーを制作しています。
こちらは、銀食器界でその名を 轟かせた老舗、Wallace社製のヴィンテージフォークから制作した非常に珍しいフォークバングルです。
大胆な彫刻とスターリングシルバーの輝きが非常に強いインパクトを与えてくれる一品です。
こちらも同じくWallace社製の人気パターンである、Sir Christopherのバターナイフから制作したバングルです。
より精悍な顔つきは、身に付ける者の格式を高めてくれます。
こちらもアメリカで非常に多くのファンを持つ銀食器ブランド、Gorham社製のMediciというパターンのヴィンテージスプーンから制作したスプーンリングです。
持ち手部分のプレーンな輝きと、周りを囲むようにして配置された豪華な装飾が最高の調和を見せており、ファッションのポイントとして身に着けるものに貫禄を与えてくれます。
その他にもカントリージェントルマンでは様々なメンズ向けヴィンテージアクセサリーを制作・販売しております。(数はまだ少ないのですが、ウィメンズ向けもご用意しております。)
素材はすべて実際に使用されていた100年以上前のバターナイフや、80年前に発表されたデザインのスプーンなどのヴィンテージ素材からのみ制作しております。
ぜひその他の作品もご覧いただければ幸いです。
終わりに
そもそも、ヴィンテージと呼べるほどの古い時代には、男性が現代ほど指輪やネックレスを着けることはあまり多くはありませんでした。
しかしながら、自らのスタイルを表現するための一つのアイテムとして、その時代を生きた人たちは精一杯身を着飾り楽しんでいました。
この現代にヴィンテージアクセサリーを身に付けるということは、男性にとってただ単に指輪を身に付けるのでも、おしゃれをするだけでもなく、そのアクセサリーに刻まれてきたストーリーを身に付けること、さらにはそれを受け継いで行くことを意味していると、私は考えています。
カントリージェントルマンではこれからも、ヴィンテージアクセサリーに秘められた歴史を紐解きながら、古き良きものを発掘していればと思っています。
Country Gentleman
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