ご無沙汰しております。
これまで当ブランド、カントリージェントルマンではアクセサリーに関する知られざる歴史をご紹介してまいりましたが、御多分に洩れず今回もかなりマニアックな内容となっております。
多くの方にとっては退屈極まりないお話となるかもしれません。
お時間に余裕のあるファッションフリークの皆様にのみ、御覧をいただけますと幸いです。
さて、「腕章」というものがあること自体は、おそらくほとんどの方がすでにご存知かと思います。
現代では主にスポーツの試合や、軍隊の制服などで目にする機会があります。
具体的にはサッカーのキャプテンマークと呼ばれる腕章や、軍においては階級を表すための腕章が身につけられています。

FOTO:FORTEPAN / Nagy József, CC BY-SA 3.0, via Wikimedia Commons
しかし実はこの「腕章」を表す単語(英語)は2つ存在していることはご存知でしたでしょうか。
1つは先述したような「arm band(Brassard)」、もう1つが今回ご紹介する「armlet」という言葉です。
※上記2つの言葉の違いを端的に表すとすれば、前者は「識別」のためのものであり、後者は「装飾」のためのものであると言えるかと思われます。
今回はそんな、「装飾品としての腕章」の知られざる魅惑的な歴史について、お話をさせていただければと思います。
腕章(アームレット)とは
アームレットとは、簡単に言えば「上腕部に身に付ける装飾品としての腕輪」のことを指します。
腕章の明確な起源は明らかにされていませんが、おそらくは古代エジプト時代ごろから装飾品として身につけられていたのではないかとされています。
こちらはエジプトで発見された、紀元前1540年〜1296年頃の石像です。両腕の上腕部にそれぞれ2つずつの腕章が身につけられていることが分かります。

Tim Evanson from Cleveland Heights, Ohio, USA, CC BY-SA 2.0, via Wikimedia Commons
この頃このような豪華な首飾りや腕章を身につけることができたのは貴族のみであり、この石像は高貴な人物を模して作られたものであると推測されています。
また、こちらは古代アッシリアの農業、狩猟、戦争の神とされるニヌルタの石板です。

Katolophyromai, CC0, via Wikimedia Commons
紀元前883-859年ごろのものとされており、その上腕部には腕章が身につけられていることがわかります。
そしてなんと、実は聖書の中にまで腕章(アームレット)に関する記述があったことをご存知でしょうか。
具体的には旧約聖書の民数記 31「ミディアン人に対する復讐」の中で、以下のように書かれています。
So we have brought as an offering to the Lord the gold articles each of