<WallaceのGrand baroqueヴィンテージスプーンリング>
最近では感度の高いファッショニスタを中心に、徐々に認知され始めてきたスプーンリング。
当カントリージェントルマンでは、名だたるシルバーカトラリーブランドのスプーンから幾つもの作品を生み出し、とてもありがたいことに沢山の方にご購入いただいてきました。
しかし、そもそも私たちがスプーンリングなるものを目にするまで、どのような経緯があったのでしょうか。
今回こちらの記事では、新たなヴィンテージ・アンティークアクセサリーとして市民権を得つつある、知られざるスプーンリングの歴史について、紐解いて行きたいと思います。
スプーンリングは愛の証

一説によれば、スプーンリングの歴史は17世紀のイギリスにまでさかのぼるようです。
17世紀当時、銀食器を持つことができたのはその価格帯の高さから一部の富裕層(貴族や商人)に限られていました。一般の人々がそれらを持つことは、非常に困難と言わざるを得ないような状況だったそうです。
あるところに、裕福な家の召使いとして働く男がいました。彼には結婚を申し込もうと思う大切な女性がいました。しかし、彼には本物の婚約指輪を買うことができるほどの経済的な余裕はありませんでした。
この女性になんとか喜ばせて婚約を結んでほしいと考えた男は、高価な銀のスプーンを雇い主の家から盗み、それを職人に頼み込み、スプーンリングへと加工させることにしました。
つまり彼は、本物の婚約指輪を買う代わりに、銀のスプーンリングを送ることで婚約者に喜んでもらおうと考えたのでした。
<WallaceのGrand baroqueヴィンテージスプーンリング>
このアイデアは彼らの中で瞬く間に広がり、多くの男が裕福な家から銀のスプーンを盗み、スプーンリングを作らせました。
しかしことはそう上手くは運びません。当時銀食器を持つことは富裕層にとってはステータスの一つでした。そのため、銀のスプーンを持つ人の多くが自分の家系の紋章やイニシャルをスプーンに彫っていたのです。
スプーンを盗まれたと気づいた富裕層たちは、その紋章やイニシャルを手掛かりに捜査を依頼。結果として、多くの者たちがお縄につくところとなったのです。
このようなイタチごっこは、17世紀から19世紀まで続き多くのスプーンリングが作られていったそうです。
その後、スプーンリングはファッションの一つとして徐々に人々に受け入れられ始めるようになります。1960年代に興ったヒッピーブームでは決して少なくない人がスプーンリングを着けていました。