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フォークの歴史


おいしそうな料理をフォークでいただく

先日スプーンの歴史について紐解いていきましたが、その流れで今回はフォークの歴史についても見ていきたいと思います。

スプーン・ナイフと共にカトラリーの代表格であるフォーク。その背景にはどんな歴史が潜んでいるのでしょうか。

 

初期のフォーク

古い歴史を持つ木製のフォーク

最も初期のフォークは、古代エジプトで見つかっています。そのほかでは中国の一部でも、フォークに近いものが使用されていたことがわかっています。(紀元前2400-1900ごろ)しかし、いつごろにフォークというものが発明されたのかは、正確にはわかっていません。

意外なことに、ヨーロッパなどの西洋世界でのフォークの人気はそれから数千年後に、シルクロードを経てヴェネツィアへと広がっていきました。

 

中世のフォーク

フォークは食べ物を切り分けるための調理器具だった

ヴェネツィアでのフォークに関する初めての記録の一つは、ビザンチンの王女テオドラ・アンナ・ドゥカナの結婚式に関する11世紀の物語でした。ドメニコ・セルボへの贈り物として、彼女は持参金の一部として金のフォークを持ってきたということが記録されています。

しかし、そのころのフォークは食事のための食器ではなく、食べ物を切り分けたりするときに食べ物を押さえておいたり、大皿からそれぞれが取り分けるための調理器具として使うのが一般的だったようです。

その後、食べ物を口に運ぶための”食器”としての普及は、中世の終わり頃からにヨーロッパで徐々に広がっていったと考えられており、さまざまな文献・絵画などからおそらくイタリアからその流れが始まったと考えられています。

 

近代のフォーク

フレンチのフルコースで使うフォークは多種多様

フォークは、17世紀頃から現在のスタイルへとその形を変えてきました。

それ以前のフォークといえば、現在のような三股の一般的なスタイルではなく、まっすぐでとても鋭い二股であったそうです。それは、フォークがそれ以前まで調理器具として使用されていたことに起因しているのですが、食べ物を切るために押さえる役割として二股が一番適していると考えられているためでした。

その後徐々に食器として使われるようになったフォークは、二股から三股や四股へと突起部分の数を増やしていきました。それにより、より指し易く刺した後でも食べ物が落ちてしまわないように利便性が改善されていったのです。

さらに非常に鋭利であった先端部分は、口に入れたときに口内を傷つけないようにすべく滑らかに削り落とされました。これらのスタイルの変化によりフォークは非常に有用な食器として認知されていき、徐々に市民権を得ることになっていったのです。

 

富裕層のステータスとしてのフォーク

ゴージャスなフォーク

食器としての利便性を手に入れたフォークは確かに市民権を獲得しましたが、そこに至るまでの道のりは短いものではありませんでした。

それはフォークがそもそも調理器具として認知・使用されてきたという歴史と、食事は基本的に手を使って食べるものだという文化があったためです。実際にルイ14世なども、食事は手で食べるものとしてフォークを使わなかったという記録があることからも、それは明らかになっています。

その後徐々にフォークは食器であるという文化が浸透し始めます。特にフォークを一般化させた契機として考えられるのが、富裕層間でのステータスとしてのフォーク人気の高まりです。

18世紀頃から、富裕層は煌びやかな装飾や家紋・イニシャルをカトラリーに刻印することが流行していったのです。これにより、フォークは一気に食器として使用されるようになっていきました。

 

現在のフォーク

フォークは一般的な食事にも、高級フランス料理のレストランなどでも使用されるようになりました。特にフランス料理のフルコースなどでは、食べる食材の種類(肉・魚)などによっても細かくそのデザイン・大きさが異なるフォークを用いるようになりました。

 

フォークの素材

フォークの素材は、その時代に合わせて一般的なものが用いられました。

中世初期のフォークは鉄でつくられていたとされています。その後鋳造技術の進化により、銅、銀、金などの貴金属でも徐々に製造され始めていきました。

現代のように様々な素材のフォークが作られるまで、一般的であったのは真鍮や銅合金などの耐久性に乏しい素材のものでした。

特に真鍮は、電気を使って金や銀のめっきを施すというめっき技術の発見により、素材として広く使用されていました。その後1860-70年の時点ではニッケル銀(白金)がその代替素材として19世紀半ばの基本素材となっていきました。

その後アルミニウム、プラスチックなどの加工が容易な素材が人気となり、最終的にはその耐久性の高さからステンレススチールが最も広く使われるようになりました。現在特に西洋では食事欠かせないアイテムとして、フォークは不動の位置を占めるまでになりました。

とはいえ、世界の人口から考えれば、一番多い食べ方は手で食べることであり、2番目は箸、フォークなどのカトラリーはその次にランクインしています。

カントリージェントルマンでは現在のところ、フォークを用いた作品はほとんどありませんが、今後徐々にラインナップを増やしていく予定です。

フォークを使ったブレスレット

なるべく早く多くの方にヴィンテージフォークの美しさ・すばらしさを知っていただくためにも、制作を急いでいきたいと考えています。

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