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レザージャケット(革ジャン)の知られざる歴史

更新日:2020年5月13日

現代において、「反抗」や「不良」を感じさせるファッションアイテムの一つとしてその不動の地位を築き上げたレザージャケット(革ジャン)。


ストリートファッションやバイカーたちにとってもはや欠かせない存在となったレザージャケットですが、もしあなたもジッパー付きのジャケットを一つでも持っているのなら、今回のお話は非常に興味深いものとなるに違いありません。


今回はそんなレザージャケットの知られざる歴史を紐解いていきたいと思います。

 

レザージャケットの起源


レザーを衣類として使い始めた起源には、諸説あります。(ネイティブアメリカンたちやその他民族の衣装がそれにあたります。)


しかし現在のレザージャケットの直接的な系譜を辿れば、第一次世界大戦の終盤に当たる1918年に、ドイツ軍の戦闘機のパイロットのアウター、つまりは軍服として採用されたことが起源であるというのが世界的な定説となっています。

第一次世界大戦時のドイツ軍のレザージャケット

https://www.thefedoralounge.com/threads/eastman-leather-clothing-wwi-imperial-german-aviator-flying-coat.81771/


その後、レザージャケットが持つ耐久性や防寒性などの性能に各国の軍が目をつけ、一気にその人気は高まります。代表的なところで言えば、「King of the flight jacket」との呼び声も高い、アメリカ軍のA-2フライトジャケット(1931-1943)です。


アメリカ軍初期のフライトジャケットであったA-1と比較すると、その人気は圧倒的にA-2に軍配が上がるほどに人気を誇り、軍を退役した後も彼らは生涯それを大切に着続けているほどです。

名作A-2レザージャケット
中央がA-2フライトジャケット

https://www.gentlemansgazette.com/bomber-flight-jacket-guide/


A-1とA-2ジャケットの最大の違いは、ジッパーにあります。A-1はボタンで開閉を行い、A-2はジッパーで開閉を行いました。

・・・などとお話を進めていくと、レザージャケットではなくフライトジャケットのお話に脱線してしまいそうなため、ここではこの程度に留めておきたいと思います。

 

ショットのレザージャケット


レザージャケットの歴史を紐解くにあたり、欠かせないブランドがあります。それがShott(ショット)です。

Shottのロゴ

https://www.schottnyc.com/


あなたがバイカーなのであれば、きっとすでにご存知かと思いますが、レザージャケットといえばショットと言われるほど、圧倒的な知名度と人気を誇るのが、Schott(ショット)なのです。


Schottは、ロシア系移民の息子である、 Irving Schott(アーヴィン・ショット)が1900年代はじめに衣料品メーカーのパターンメーカーとして働き始めたことから始まります。


彼はその後1913年に独立し、マンハッタンのローワーイーストサイドにある長屋の地下に、弟のJack Schott(ジャック・ショット)と共にShott Brothers(ショットブラザーズ)という名前で工場を開設しました。


彼らの最初のヒット商品はシープスキンの裏地付きレインコートでした。当時はまだまだ知名度もなかったため、彼らは商品を持ち、ドアからドアへと地道に販売して歩きました。


その後ショットブラザーズは様々な種類の商品を開発・販売し始めます。大きな転機が訪れたのがBecks(ベックス)との出会いでした。


友人の紹介でアーヴィンたちはベックスと出会います。ベックスとは当時国内最大のハーレーダビッドソンの販売代理店として知られており、彼らはアメリカ全土のオートバイショップで入手可能な商品のカタログを配布していました。

1920年代のヴィンテージハーレーダビッドソン