何の役にも立たないと思っていた情報が、それを忘れ去ってしまうほどの年月の後にひょっこりと顔を出し、あろうことか新しいアイデアにつながることがあります。
私にとってその一つが、ホーボーとホーボーサイン、そしてホーボーニッケルという繋がりでした。
とはいえ、当ブログをご覧いただいている皆様の中には、「ホーボーって何?」という方も確実にいらっしゃることと思います。
今回は、(またも)ヴィンテージアクセサリーの歴史から少し離れ、しかし非常に興味深い歴史について、お話をさせていただければと思います。
※後半では、ホーボーの歴史を基にカントリージェントルマンが制作した、ホーボーサインサンダーバードネックレスのご紹介もございます。
ぜひ最後まで(気長に)ご覧いただければ幸いです。
ホーボーとは?
ホーボー(Hobo)とは、一言で言えば「仕事を求めて放浪する労働者」のことを指します。(トランプと呼ばれることもあるようです。)
彼らの主な移動手段は鉄道であり、いつ頃から彼らのような労働者が生まれたのかは明確にはわかっていませんが、「鉄道に乗って仕事を求めて放浪する人々」をホーボーと呼ぶとするならば、
ホーボーの歴史はアメリカ鉄道の発展と南北戦争終結があった1860年代まで遡れることになるかと思います。
(もちろんホーボーと呼ばれる前から、彼らのように放浪をしながら仕事をしていた人々は存在していたため、厳密にはさらに遡ることは可能かもしれません)
また、この「ホーボー」という名前はなかなか耳慣れないものですがその起源には諸説あり、
意外なことに日本の言葉が始まりだとする説もあります。
以下それらの一部をご紹介します。
・日本語の「方々(ほうぼう)に行く」という言葉が起源だとする説。
・「鍬(くわ)」を意味するhoe、「少年」を意味するboyを合わせた言葉「hoe boy(=農夫)」という言葉が起源だとする説。
ちなみに私は後者の説を知った後で実際のホーボーの写真を見つけたのですが、いかにもそれと連想させるような姿が映し出されていました。

手前のホーボーが肩に「鍬を担いでいる」ように見えないでしょうか。
これは「ビンドルスティック」と呼ばれるもので、棒に「ビンドル」と呼ばれる荷物入れの布を括り付けたものです。
常に放浪をしていた彼らは多くの荷物を持つことはなく、多くのホーボーはこのような簡素なバッグを旅の友として移動をしていました。
もしかすると彼らがビンドルスティックを担いで歩いている姿を見た人々が、「鍬を持って歩いている人」と勘違いし、それが「農夫」→「鍬」「少年」→hoe boy→hobo(ホーボー)へと変遷していったのではないか。
そんなふうに考えることもできるのではないでしょうか。
(あくまで私個人の推察ではありますが)
ホーボーの歴史

アメリカにおける1860年代の大きな出来事といえば南北戦争(1861年-1865年)が挙げられますが、この戦争終結後には多く退役軍人がホーボーとなり、
徐々に発展しつつあった鉄道を移動手段として、各地へ仕事を求めてさすらうことになりました。
また少し時計をすすめると、1929年頃に起こった世界恐慌により、さらに多くの失業者たちがホーボーとして生きる道を選ぶことになりました。