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シグネットリングと石(ストーン)の素晴らしき融合

更新日:2021年6月4日


黒い石がはめ込まれたシグネットリング

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Signetring_med_onyx_f%C3%B6r_prins_August,_fr%C3%A5n_1871_-_Livrustkammaren_-_97903.tif


前回の投稿からずいぶん期間が空いておりました。Country Gentlemanです。


イギリス紳士のスーツの着こなしは本当に見事なもので、立派な体躯に洗練された身のこなし、そしてその手元にはいつもシグネットリングが控えめながらも美しい輝きを放っています。


現代のシグネットリングを見ると、そのほとんどが金か銀で作られており、余計な装飾を一切廃してモノグラムだけが掘り込まれているというシンプルなものが好まれています。


しかし歴史を遡れば、シグネットリングと石(ストーン)の間に、人の心を引きつける素晴らしい魅力があることがわかります。


今回はそんなシグネットリング と石(ストーン)の素晴らしき融合の魅力について、お話しさせていただければと思います。

 

美しい宝石とシグネットリングの融合


現代のシグネットリングの系譜を紐解けば、古代エジプト(紀元前3,500年ごろ)へと行き着きます。


その後中世ヨーロッパの頃には様々なスタイルのシグネットリングが各地で作られていくことになります。


その頃のシグネットリングを調べてみると、もちろん現代のような金でできたシンプルなシグネットリングもたくさん見受けられますが、意外にも宝石が埋め込まれたものが沢山あることに気がつきます。

アメジストが美しいシグネットリング

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sigillring_av_guld_och_ametist_med_Lilla_Brahevapnet_-_Skoklosters_slott_-_92353.tif


※ちなみにこちらの美しいリングは、紫のアメジストに紋章が刻まれた19世紀頃のもので、スウェーデンのSkokloster Castle(スコクロースター城)に所蔵されています。


実際にその当時の貴族や富裕層の肖像画を見てみると、多くの場合宝石が埋め込まれたシグネットリングをしています。


現代においては石はパワーストーンとして広く知られており、それらには石言葉なるものがあり、自らが必要とするパワーを得るためにブレスレットなどにして常に身につける人が多くなってきています。


シグネットリングに石を入れていた人たちが、現代のようにパワーを得るために石を入れていたのかについては、明確な文献等は見当たりませんでしたが、


シグネットリングに使用されることが多かった石の種類を列挙してみると、彼らも少なからず石のパワーについて知った上で選んでいるように思わされます。


・オニキス(石言葉:魔除。古くから邪気やネガティブなものから守ってくれる石とされてきた)

・カーネリア石言葉:迷いをなくして勇気を与えてくれる。古くは戦場に向かう戦士たちが身につけたともいわれる

・ブラッドストーン石言葉:勇気、勇敢。古代には魔法の石とされ、やはり戦士たちのお守りとして重宝された

・ルビー石言葉:勇気の石。または予言の石ともいわれ、危険が迫ると黒くなって教えてくれるともされる

・ラピスラズリ石言葉:聖なる石。世界最古のパワーストーンとされ、幸運をもたらすとされる


このように、勇気・勇敢または邪悪なものからの保護を司る石たちが多用されていることは、決して偶然ではないように思われます。

 

ストーンが埋め込まれたリングたち


ここからは数点の、非常に美しいシグネットリングたちをご覧いただくことに致します。


まずこちらは、12世紀頃の東ローマ帝国時代(ビザンティン帝国)のシグネットリングです。