シグネットリングと石(ストーン)の素晴らしき融合


https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Signetring_med_onyx_f%C3%B6r_prins_August,_fr%C3%A5n_1871_-_Livrustkammaren_-_97903.tif


前回の投稿からずいぶん期間が空いておりました。Country Gentlemanです。


イギリス紳士のスーツの着こなしは本当に見事なもので、立派な体躯に洗練された身のこなし、そしてその手元にはいつもシグネットリングが控えめながらも美しい輝きを放っています。


現代のシグネットリングを見ると、そのほとんどが金か銀で作られており、余計な装飾を一切廃してモノグラムだけが掘り込まれているというシンプルなものが好まれています。


しかし歴史を遡れば、シグネットリングと石(ストーン)の間に、人の心を引きつける素晴らしい魅力があることがわかります。


今回はそんなシグネットリング と石(ストーン)の素晴らしき融合の魅力について、お話しさせていただければと思います。

美しい宝石とシグネットリングの融合


現代のシグネットリングの系譜を紐解けば、古代エジプト(紀元前3,500年ごろ)へと行き着きます。


その後中世ヨーロッパの頃には様々なスタイルのシグネットリングが各地で作られていくことになります。


その頃のシグネットリングを調べてみると、もちろん現代のような金でできたシンプルなシグネットリングもたくさん見受けられますが、意外にも宝石が埋め込まれたものが沢山あることに気がつきます。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Sigillring_av_guld_och_ametist_med_Lilla_Brahevapnet_-_Skoklosters_slott_-_92353.tif


※ちなみにこちらの美しいリングは、紫のアメジストに紋章が刻まれた19世紀頃のもので、スウェーデンのSkokloster Castle(スコクロースター城)に所蔵されています。


実際にその当時の貴族や富裕層の肖像画を見てみると、多くの場合宝石が埋め込まれたシグネットリングをしています。


現代においては石はパワーストーンとして広く知られており、それらには石言葉なるものがあり、自らが必要とするパワーを得るためにブレスレットなどにして常に身につける人が多くなってきています。


シグネットリングに石を入れていた人たちが、現代のようにパワーを得るために石を入れていたのかについては、明確な文献等は見当たりませんでしたが、


シグネットリングに使用されることが多かった石の種類を列挙してみると、彼らも少なからず石のパワーについて知った上で選んでいるように思わされます。


・オニキス(石言葉:魔除。古くから邪気やネガティブなものから守ってくれる石とされてきた)

・カーネリア石言葉:迷いをなくして勇気を与えてくれる。古くは戦場に向かう戦士たちが身につけたともいわれる

・ブラッドストーン石言葉:勇気、勇敢。古代には魔法の石とされ、やはり戦士たちのお守りとして重宝された

・ルビー石言葉:勇気の石。または予言の石ともいわれ、危険が迫ると黒くなって教えてくれるともされる

・ラピスラズリ石言葉:聖なる石。世界最古のパワーストーンとされ、幸運をもたらすとされる


このように、勇気・勇敢または邪悪なものからの保護を司る石たちが多用されていることは、決して偶然ではないように思われます。

ストーンが埋め込まれたリングたち


ここからは数点の、非常に美しいシグネットリングたちをご覧いただくことに致します。


まずこちらは、12世紀頃の東ローマ帝国時代(ビザンティン帝国)のシグネットリングです。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Byzantine_-_Ring_with_an_Intaglio_of_Pan_-_Walters_571580_-_Top.jpg


現代のシンプルなシグネットリングと比較すると非常に華美であり、当時の職人たちの技術力の高さを窺い知ることができます。


リングの両端にはそれぞれ獅子がデザインされており、八角形に縁取られた台座の上には黒い石が鎮座しています。


身に付けるものに自信を与えてくれるような、細身でありながらも力強さを感じるリングとなっています。


次にご紹介するのが、スウェーデンのクリスティーナ女王(1626-1689)の豪華絢爛なシグネットリングです。

https://commons.wikimedia.org/wiki/File:Signetring_som_tillh%C3%B6rt_drottning_Kristina,_1650_cirka_-_Livrustkammaren_-_98882.tif


楕円形にカットされたカーネリアンと呼ばれるストーンの上には、当時の最高峰の職人の手によって紋章が刻まれています。


ちなみにクリスティーナ女王は「バロックの女王」とも呼ばれる才女であり、複数の言語をいともたやすく操る男勝りな女王であったともされています。

彼女がこのリングを身につけている肖像画は発見できませんでしたが、いかにも中世ヨーロッパらしい凝ったデザインが、当時の流行を表しています。

ブラッドストーンの興味深い伝説

シグネットリングに埋め込まれる石の一つに、”Blood stone”なるものがあります。直訳すれば”血の石”と少し怖い響きがしますが、このブラッドストーンはいわゆるパワーストーンの中でもかなり古い歴史を有しています。


紀元前の古代メソポタミアの時代には儀式の中でこのパワーストーンが使用されたり、古代ローマ、ギリシャのアスリートたちは自らの持久力を高めるために、このブラッドストーンを身につけていたことがわかっています。


そして何よりこの石が興味深いのは、その伝説にあります。


かのイエス・キリストがゴルゴダの丘で十字架に磔にされた際、その傷口からは夥しい血が流れ出しました。その血が彼の体を流れ、十字架を伝って地面に落ちた時に、


そこにあったグリーン・ジャスパー緑碧玉)の上に滴り落ちたため、緑色の中に赤色の斑点のような石、つまりブラッドストーンが誕生したとされています。


こういったエピソードからこの石はブラッドストーン(血の石)と命名されたと思われ、また別名”殉教者の石”とも呼ばれています。


現代では、古代メソポタミア時代からこの石が存在していたことがわかっているため、この伝説は正確にはあり得ないことではあるのですが、当時の人々がそれほどまでに不思議な力をこの石に感じていたということは、史実を抜きにしてもとても魅力を感じるところです。


このブラッドストーンはその後「騎士のお守り」としても多用されました。一部の人の間では「傷ついた際に止血の効果がある」や、「血の流れを良くしてくれる」などと、赤い斑点が血に見えることから血液に非常に関係の強い石として重宝されていたそうです。


そのような歴史から、お守りの意味も含め多くの貴族や富裕層がこの石をシグネットリングに使用していました。


例えばこちらのシグネットリングは、John K. Elliottという人物が1864年に米国陸軍士官学校を卒業したときにニューヨークの宝石商、Ball、Black&Co.によって製作されました。

中央には盾の形にカッティングされたブラッドストーンが鎮座しており、非常に美しいフォルムが当時の職人の高いデザインセンスを感じさせてくれます。

シグネットリングと石が生み出す美しき調和


現代において、指輪に使用される石(宝石)は石そのものの美しさを活かすために、様々なカットが施されます。


エメラルドカット、ブリリアントカット、オーバルカットなど、光を受けて輝きを増すこれらのカットは、ジュエリーの世界ではスタンダードとされてきています。


直接石を彫り模様やモチーフを刻み込むことは、ある意味その石の美しさを損なうとも考えられ、決して万人受けするスタイルではないのかもしれませんが、


その時々の職人が想いを込めて彫り込まれた石は、私の目にはこの上なく魅力的な輝きを放っているように感じられます。


その希少性から、このような状態も良く石がはめ込まれたシグネットリングを手に入れるのは、非常に困難な状況ではありますが、機会があればぜひ1つは手に入れてみたい、憧れの品です。


現在ではこのような石が埋め込まれ、さらにその石にモチーフが刻み込まれたスタイルのシグネットリングはあまり作られてはいませんが、昨今のシグネットリング に対する人気の高まりを見れば、


その魅力に気付いたデザイナーたちの手で、これから新たなスタイルの石付きシグネットリングが生み出される日も、そう遠くはないのかもしれません。


Country Gentleman


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